2019年5月9日、ZeppNagoyaにて公演が行われた西川貴教名義として初めてのツアー「SINGularity」。
MC中、「新人」の西川貴教、と言われると、どうしてもニヤニヤしてしまう。
「ニヤニヤするな!」
案の定、注意されるけど、注意をしている西川貴教もまた、ニヤニヤしている。
観客も西川自身も、このやり取りができる場所に帰ってこれた嬉しさもあるのではないだろうか。
実は、2年前の2017年5月にT.M.Revolutionの20周年記念イヤーのファイナルを飾ったライブを行って以来、西川自身はT.M.Revolutionとしても単独ライブを行っていない。
「西川貴教」名義としての活動が始めた2017年の秋から、ミュージカル、オーケストラとのコンサートなど、今までのT.M.Revolutionやabingdon boys schoolなどの活動とは違う、新たな活動をしていた。
そして、西川貴教名義での活動開始から1年半。
ついにアルバムをリリースし、初めてのツアーの開催となった。
「人工知能の知性が、地球上の全人類の知性を超える時点」技術的特異点という意味の「Singularity」。
その言葉に、さまざまなアーティストと組むことで、さらに自身を変化させる意思を重ねた「SINGularity」。
これをアルバムのタイトルにし、ツアータイトルも同名となった。
ライブのテーマは「Singularity」にどう立ち向かうか。
大きなビジョンでの、キレイで迫力のある映像に負けないパフォーマンス。
その動きや演出1つ1つに、この2年間の活動が何一つ無駄ではなく、今日のライブにつながっていることを感じた。
それは自身が得たものを惜しげもなく出し尽くす、西川貴教らしいやり方だった。
それだけ変化をし続けながらも、ずっと変わらない「全力」も見せてくれる。
だから、観客も変わらずに、全力で答える。
この一体感こそが「今日しかできないライブ」。
ここにいる全員が「仲間」だと感じられる瞬間だ。
「成長」と「共存」。
これが西川貴教自身が「Singularity」にどう立ち向かうか、という問いに対して導き出した答えなのだろう。
今年も、イナズマロックフェスに「西川貴教」として出演する。
「SINGularity」を越えた先で、どうなっているのだろう。